輸入貿易管理

【1】輸入規制の体系
輸入については、外国為替及び外国貿易法、その具体的な部分を定めた輸入貿易管理令、その他の法令により、貨物の輸入に関して許可、承認その他の行政機関の処分または検査あるいは条件の具備(以下「許可、承認等」)を必要とする旨規程しており、この制限を、関税法による輸入の許可制に結びつけることによってその実効を確保している。

輸入規制に関する法令等
(1) 外国為替及び外国貿易法、その具体的な部分を定めた輸入貿易管理令→輸入割当、承認
(2) 関税定率法→輸入禁制品
(3) その他の法令(食品衛生、動植物検疫など)

【2】輸入貿易管理令
(1) 輸入割当(Import Quota, IQ)
IQを受けるべき貨物の品目、輸入の承認を受けるべき貨物の原産地又は船積地域その他貨物の輸入について経済産業大臣が公表し、国外からの対象品目の輸入について制限を加える制度。 輸入割当に関する事項(申請日時、申請先、提出書類、輸入割当基準等)は
「輸入発表」として経済産業省公報及び通商弘報に掲載される。
①輸入割当(IQ)品目→I/L(Import License)→輸入貿易管理令第4条1項:輸入承認が必要。 IQ品目には、「非自由化品目」と「モントリオール議定書付属書に定める規制物質」とがある。
(イ)「非自由化品目」
にしん、たら、すけそうだら、たら(すけそうだらを含む)の卵、煮干し、ぶり、いわし、あじ、さば、さんま、帆立貝、貝柱、いか、干しするめ、食用の海草(のり、こんぶ)および海草の調製品など10品目
(ロ)モントリオール議定書付属書に定める規制物質(オゾン層破壊物質)

輸入割当申請→輸入割当証明書交付→輸入承認申請→輸入承認証→I/L(Import License)の交付→輸入申告時に税関に提出。(すなわち、輸入割当を受け、かつ、輸入承認が必要)

(2) 第二号承認品目
・輸入割当品目を輸入する場合、上記フロー図の通り、輸入承認を受けなければならない。
・輸入割当品目以外に、輸入貿易管理令第4条第1項第2号を根拠とする、国際条約や国際経済制裁などの履行のために、特定の原産地・船積地域からの特定輸入品についても輸入承認品目となっている。
1)鯨およびその調製品(アルゼンチン、オーストラリア、チリなどを除く)
2)太西洋または地中海において畜養された生鮮または冷蔵くろまぐろ(アルジェリア、オーストリア、ベルギーなどの国または地域を除く)
3)生鮮または冷蔵のみなみまぐろ(オーストリア、ベルギーなどの国または地域を除く)
4) 中国、北朝鮮、台湾を原産地または船積地域とするさけ、およびますならびにこれらの調製品
5)日本の区域に属さない海面を船積地域とする魚、甲殻類、軟体動物や海草等
6)ボリビアおよびグルジアを原産地とするめばちまぐろおよびその調製品
7)ワシントン条約付属書II、IIIの動植物ならびその加工品
8)北朝鮮からの全貨物

(3) 二の二号承認品目
輸入公表の二の二号に掲げる品目なので、「二の二号承認」と呼ばれる。原子力関連、機械・武器、火薬類、化学品等、医薬品類、ワシントン条約に定める貨物→経済産業大臣の承認が必要

(4)輸入確認品目
①輸入前に関係大臣の確認が必要とされる品目(事前確認制)
治験用微生物ワクチン、まぐろ、鯨及びその調製品、ワシントン条約該当種など。
②通関時に税関が確認する品目(通関時確認制)
通関時に輸入品の統計証明書を税関に提出して、確認を受ける必要があるもの。
a)生鮮または冷蔵くろまぐろ、みなみまぐろ、および かじき
b)場合により、ワシントン条約付属書II、III関連の食品

(2)輸入禁制品→関税定率法
国内社会の安全・秩序を損なうおそれのある以下の貨物は、「輸入してはならない貨物」として、関税法第69条の11に掲記されており、輸入申告をしても輸入許可は下りない。
【1】相対的輸入禁制品(政府および政府の許可を受けた者などは輸入ができる)
1.麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤、覚せい剤原料、あへん吸煙具
2.けん銃、小銃、機関銃、砲、銃砲弾、けん銃部品
3.爆発物
4.火薬類
5.化学兵器の禁止および特定物質の規制等に関する法律に規定する特定物質

【2】絶対的輸入禁制品
6.貨幣、紙幣もしくは銀行券または有価証券の偽造品、変造品、模造品、特定のカード
7.公安または風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
8.児童ポルノ
9.特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権または育成者権を侵害する物品
10.不正競争防止法に掲げる特定の不正行為を組成する物品

【3】輸入差止申立制度
(1) 認証手続申立:
①特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、育成者権
→自己の権利を侵害すると認める貨物が輸入されようとする場合には、いずれかの税関長に輸入差止申立てを行い、侵害物品か否かを認定するための手続をとるよう申し立てることができる。→ 侵害物品に該当するか否かを認定するための手続きが「認定手続」。

② 回路配置利用権者:輸入差し止めの申立は出来ない。(差止めのための情報提供はできる:輸入差止情報提供制度→回路配置利用権を侵害する物品が輸入されようとする場合に、輸入を差止めるために回路配置権利用者が税関長に対し、権利の内容や侵害に関する証拠等の情報を提供するもの。)
(2) 金銭供託:
認定手続が終了するまでの間に輸入者が被るおそれのある損害(逸失利益、倉庫保管料等)の賠償を担保するため、必要に応じて申立人に対し、相当と認める額の金銭を供託するよう命令することがでる。この命令に従わない場合には、税関長は、認定手続を取り止めて輸入を許可する場合がある。
(3) 特、実、意:税関長に、特許発明当の技術範囲である事について、「特許庁長官」の意見を求めるよう要求可。
(4) 没収/金銭供託:
認定手続を終了したときは、認定結果を権利者及び輸入者に通知し、申立人の権利を侵害すると認定した場合には、その貨物を没収するか又はその輸入者に積戻しを命じることができる(ただし、商標権を侵害する物品は、積戻しは認められない)。
【4】その他の法令による輸入規制、国内販売規制

(1) 食品衛生法
①原則→販売用・営業用食品だけでなく添加物、調理用器具、容器包装、幼児用玩具なども対象。
・食品衛生法で輸入禁止されている貨物(安全性審査を受けていない遺伝子組み換え食品など):
査合格証が発行されない→港湾、空港を管轄する検疫所に食品等輸入届出書を提出して合格しないと税関に輸入申告できない→輸入できない。積戻し命令の対象に。
・食品衛生法で輸入を禁止されていない貨物:輸入者は厚生労働大臣あての「食品等輸入届書」を検疫所の長に届ける→審査の結果問題なくば届出済み印が押されて返却。
②例外→食品等輸入届出手続きの簡素化・迅速化の制度
(イ)事前届出制度
すべての食品等について、貨物到着予定日の7日前から届出書を受け付けており、書類審査により検査の必要な場合はその旨連絡される。検査の必要な物等を除き貨物到着前又は搬入後速やかに届出済証が交付される。
(ロ)外国公的検査機関の検査結果の受入
輸出国の公的検査機関で事前に検査を受け、その成績書が添付されている場合は、当該貨物について検疫所における当該検査が省略される。ただし、輸送途上に変化するおそれのある項目(細菌、カビ毒等)は除く。
(ハ)同一食品等の継続的輸入(計画輸入制度)
同一の食品等を繰返し輸入する場合、初回輸入時届出書に検査成績書を添付し、審査の結果問題がなければ、当該食品等及びその製造加工業者を登録することにより登録された食品等については、輸入時検査が一定期間省略されると共に、届出後速やかに届出済証が交付。

(2) JAS法→生鮮食品輸入販売で、原産地表示要。
① 輸入食品の賞味期限表示→食品の国際規格であるCODEXにあわせJAS法、食品衛生法で義務付け。
② 品質劣化しやすい食品(品質保持期限5日以内)→消費期限(食べられる期限)を年月日で表示
③ その他の食品→賞味期限(おいしく食べられる期限)を年月または年月日表示
④ 輸入年月日の表示は特に義務付け無し。

(3) 植物防疫法
① 植物とその生産物に付く病原菌や害虫などが輸入貨物と共に国内に入り込むのを防ぐために、特定の貨物に対して検査を行う旨規定。
・植物防疫法、家畜伝染予防法は動植物によっては輸入港、空港を制限している。
② 対象品目:植物、植物の加工品、漢方薬など
・家具や製茶のように高度に加工されたもの、瓶詰めされた乾燥香辛料などで密閉されているものなど、植物検疫の対象となる植物の病害虫が付着するおそれがない植物又は、植物加工品等は対象外。
・対象品目の輸入には輸出国の検疫機関が発行した植物検疫証明書 Phyto Sanitary Certificate が必要。また、輸入できる港湾や空港が指定。
・果物、野菜:植物防疫法の検査→食品衛生法による届出または検査→税関も必要に応じて関税法上の観点から検査 動植物の検疫は原則として二重検疫体制。
③ 輸出貨物:相手国がわが国の検査証明書を要求している場合、日本の検疫が必要。
(4) 消費者生活用製品安全法

消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生の防止を図るため、特定製品の製造、輸入及び販売を規制するとともに消費生活用製品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進し、もって一般消費者の利益を保護する。

消費者の生命・身体に対して特に危害を及ぼす恐れが多い製品は、PSCマークがないと販売できない。

・自己確認が義務づけられている特定製品:バイク用ヘルメット、石油ストーブなど。

・特定製品の中でさらに第三者機関の検査が義務付けられている特別特定製品:乳幼児用ベッド、レーザーポインター、ライターなど。


(5) 電気用品安全法
電気用品の製造、輸入、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止する。

・「電気用品」

「特定電気用品」:◇PSEマーク 電気温水器、電気マッサージ機など。

・「特定電気用品以外の電気用品」:〇PSEマーク 電気こたつ、テレビ、リチウムイオン電池など。

 

(6) 家畜伝染病予防法  羊毛、ベーコン(+食品衛生法)
(7)バーゼル条約における特定有害廃棄物の輸出入→経済産業大臣の輸入承認

(8)  オゾン層保護法
フロンなど、オゾン層を破壊する物質の規制:ウィーン条約(1988)→モントリオール議定書(1989)
オゾン層保護法→経済産業大臣の輸入承認

(9)化学物質 (化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)

① 既存化学物質

既存化学物質に係る官報告示の類別整理番号を、輸入申告書又は輸入申告に係るインボイスに記載して明示。

②中間物等新規化学物質

厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣の確認通知書の写しの提出

(10) 医薬品、医療機器の輸入
① 業務上使用する目的での輸入
国内で製造された医薬品等と 同様に、厚生労働大臣又は都道府県知事の承認、許可又は登録を受けることが必要。
② 個人輸入:原則として、地方厚生局(厚生労働省の地方支分部局)に必要書類を提出し、薬事法 に違反する輸入でないことの証明(「薬監証明」)を受ける必要があるが、一定の範囲内であれば、 特例的に「税関限りの確認」で通関することができる。
(11) 関税法70条
① 輸入することにつき他法令で許可承認が必要な貨物は、輸入申告の際に許認可証等により証明を要求。
② 輸入貨物について検査、一定要件を満たす事を他法令で定めている貨物は税関の審査、検査の際に証明する事。

以上

輸入PL法 (製造物責任法)

 

(目的)
第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(注:被害者は、製品に欠陥があったこと、損害が発生したこと、製品の欠陥と因果関係を証明すればよい。)
(定義)
第二条 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。
(注:不動産、未加工の農林畜産水産物、電気、ソフトウエアを除く。)
2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
(注:単なる品質不良は除く)
3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
(製造物責任)
第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
(免責事由)
第四条 前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
二 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。
(期間の制限)
第五条 第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。