貿易アドバイザーとは

「貿易アドバイザー」とは、貿易取引支援のため、実務経験とノウハウを持つ人材の育成を目的に、日本貿易振興機構(ジェトロ)が1994年から始めた資格です。当時は「ジェトロ認定輸入ビジネス・アドバイザー」と言いましたが、その後「ジェトロ認定貿易アドバイザー」とされました。


しかし、2006年12月に国の歳出の削減を図る観点から、独立行政法人の業務の見直しを進めるなかで、ジェトロ認定貿易アドバイザー試験事業については「2010年までのできるだけ早期にジェトロの事業としては廃止するものとし、併せて、民間の実施主体への移管の可能性を早急に調査し、移管等の措置を講ずる」ことが決定され、2007年度を以てジェトロの事業としては廃止されました。

  

そこで、ジェトロ認定貿易アドバイザー試験の合格者で作っている「貿易アドバイザー協会」(通称:AIBA)では、2008年度よりジェトロ認定試験の精神を受継ぎ、新たにAIBA認定貿易アドバイザー試験制度を開始しました。


世の中には色々な資格試験がありますが、海外営業経験者の目指すべき最高峰の資格といえるのが、この、「貿易アドバイザー」です。   


貿易アドバイザーはどのような活動をしているか

貿易アドバイザー協会のホームページ 「ABOUT US」のコーナーから「AIBA便り」を読めます。

https://trade-advisers.com/information/aiba-letter

これは貿易アドバイザー協会の会員紙ですが、ここで貿易アドバイザーの活躍状況や、合格体験記が紹介されています。

 

試験に合格しても、貿易アドバイザー協会へ入る、入らないは任意です。ただし、貿易業界やそれを取り巻く制度は常に変化しています。また、自分がやっている海外営業業務は、貿易のすべての分野をカバーしているわけでは有りません。 貿易アドバイザー協会では、毎月勉強会(セミナー形式)を行ったり、有志で安全保障貿易の勉強会を行ったり(ゼミ形式)、JETROなどの業務を 受託したりと、幅広い活動を行なっています。 従って、貿易アドバイザー協会への入会をおすすめします。

 

貿易アドバイザー協会のメンバーの属性を見ますと、大きく「金融機関」「メーカーの海外営業」「商社」「物流会社」のバックグラウンドをお持ちの方が多いようです。また、年齢的にはそれらの現役やOBで構成されています。 最近は企業勤務の方が多いと思います。

 

貿易アドバイザー協会のホームページ  

http://www.trade-advisers.com/

  

なお、このサイトは「貿易アドバイザー協会」とは一切関係ありません。

 

貿易アドバイザー試験

合格体験記

 

合格体験記は新しいほど参考になります。

・最近の合格者の合格体験記は、貿易アドバイザー協会のホームページ 「ABOUT US」のコーナーから「AIBA便り」を読めます。

https://trade-advisers.com/information/aiba-letter

これは貿易アドバイザー協会の会員紙ですが、合格体験記も紹介されています。

 

・下記は、管理人が2005年度の、当時の「JETRO認定貿易アドバイザー」試験を受験した時の体験です。 (かなり古いです。)


1次試験は10月中ごろの日曜日。試験科目は貿易実務、海外マーケティング、貿易英語。 

(i) 貿易実務
貿易アドバイザー試験では細かい内容を問われますが、学生はともかく日ごろ船積み業務や海外営業に従事している場合は、知識の再整理・補充で半年ほど準備すれば対応可能です。 しかし、最終合格率5%位の試験ですから、それなりの準備が必要です。したがって、4月頃からボツボツ準備をはじめる必要はあります。

この試験を受験しようとする方は一通り貿易実務経験がある方ですから、いまさら、L/Cとは何か、から入る必要は無いでしょう。

早稲田大学エクステンションセンターでは貿易実務検定対策コースもありますから、受講されてはどうでしょうか。 2006年は、貿易アドバイザー対策用の講座も設定していました。

しかし、普段使わないような貿易知識も問われますので、体系的な学習が必要です。 限られた時間を有効活用するには、「問題演習」から入る方がベターです。

①「実践貿易実務」(ジェトロ) 「実践国際ビジネス教本」 (ジェトロ)の2冊はまず必読です。 ただし、面白みの無い本なのですぐに眠くなります。それでも通読は必要。
これらをザット読んだら、ただちに問題練習に入ります。

②まず、基礎的な事項を確認するために 「めざせ!貿易実務検定」 (日本能率協会マネジメントセンター)を読みます。この本は解説のあと、簡単な問題演習がついているので知識の整理に役立ちます。

③次に、7月の「貿易実務検定」B級、準A級を当面の目標として設定します。そのために、下記の問題集を片端からやります。

・貿易実務検定B級試験問題集 (マウンハーフ教育出版)
・貿易実務検定 準A級受験の指針 貿易書類の作成 (マウンハーフ教育出版)
・貿易実務検定 準A級試験問題集 (マウンハーフ教育出版)
・国際貿易ビジネス検定 本試験問題・解説集 (東京リーガルマインド)

これらはやや高価ですが、買って損はありません。貿易実務は法律や諸外国の規制が頻繁に変更になります。 ①の様な定番の書籍は最新情報を反映していないので、貿易実務検定等の最近の過去問集を買い、その解説を通じて知識をUPDATEします。 「日ごろ貿易実務をやっているから簡単だ」と侮ってはいけません。


なお、貿易実務検定準A級で出題される「船積書類作成」はジェトロ貿易アドバイザー試験の試験範囲ではありませんが、その問題を解く過程で貿易アドバイザー試験で問われる貿易実務知識の整理ができるので、やっておいて損では有りません。

④7月の貿易実務検定B級、準A級がが終了したら、学習レベルを貿易アドバイザーレベルひ引き上げる必要があります。

そのために、
・貿易アドバイザー試験問題集 (世界経済情報サービス) 
・貿易実務検定A級試験問題集 (マウンハーフ教育出版)
を取り組みます。 

貿易アドバイザー試験の過去問集には解説が無いので、ネットや書籍で調べます。 また、貿易実務検定A級は年1回、3月にしか実施されないので、この段階ではA級の過去問に取り組みます。 貿易実務検定の準A級、A級は貿易実務検定と出題傾向が非常に似ています。

⑤日常業務では、身の周りの教材も改めて良く見ておきましょう:

B/L:B/Lの読み込みは必要です。在来船、コンテナ船双方で輸出業務を行っているのなら、それこそ最良の教材が手元にあるわけです。

L/C:L/CとInvoice, Packing List,B/L,Bill of Exchangeの関係を復習しておきましょう。
Insurance Policy:これも、内容を良く確認しておきましょう。普段使わないような付保の方法も貿易アドバイザー試験では出題されます。 従い、かならずしも「日常業務をやっているから実務の科目は万全」とは言い切れません。

 

(ii) マーケティング

言葉は良く聞きますが、「貿易アドバイザーの試験対策」となると一体どのように勉強して良いかわからないと思います。 一番良いのは、中小企業診断士の資格スクールの単科講座を申し込むことです。 中小企業診断士の1次試験科目に「企業経営理論」と「運営管理」という科目があります。必ずしもすべてが貿易アドバイザーの海外マーケティングと一致するわけでは有りませんが、受験対策としては有用です。 

私が中小企業診断士を受験するときに通ったTACでは総合講座の一部を単科受講できますし、教室の講義が終わった後に申し込んでも、カセットでフォローできます。

マウンハーフで「マーケティング実務検定」の対策講座を行っていますが、貿易アドバイザー試験では、レベル的には中小企業診断士レベルが要求されます。

また、マーケティングでは時事的な話題も出題されます。FTAの相手国とか、貿易白書とか、最近話題のBSEに係わる食品輸入手続とか、戦略物資輸出もねらい目でしょう。
これらはJETROのホームページや新聞を注意深く見ておくことで対応できます。


(iii) 貿易英語
これこそ、普段の業務でコレポンをやっていれば対応可能です。ただ、前半の読解問題でBusiness Week誌からの出題が続いています。 6月頃、Business Week誌をネットでチェックして、その英語表現になれておくと良いでしょう。

 

2次試験合格体験記

下記も、管理人が2005年度の、当時の「JETRO認定貿易アドバイザー」試験を受験したときのものです。

 

2次の論文は1次合格後に提出します。 今回の課題は「中小企業の海外進出に対し、貿易アドバイザーとしてどのように助言するか」というものでした。 
それと、これまでの貿易取引に関する経歴を記した履歴書の提出が求められます。

アークヒルズのジェトロ本部の会議室が試験会場です。 本日の東京会場の受験者は5名程度とのことです。

試験官は3名で、30分じっくり聞かれます。 聞かれた項目は、

①貿易アドバイザーの受験動機。 診断士の口述では「なぜ診断士を目指すか」
は聞かれませんが、今日はしっかり聞かれました。 診断士としての専門分野を
深めたい、と答えました。 

たんなる資格取得ではなく、資格をとった後、それをどのように活かすつもりか、活かせる環境にあるかについて関心があるようです。

②これまでの貿易業務で取り扱った製品の説明。

③事前提出した論文についての説明。

④履歴書を元に、「なぜ転職したのか」など、就職試験のような質問もありました。

⑤インドに重発電機を輸出する場合の、日本側の輸出規制と、インド側の輸入規制についての質問がありました。 正直、これは分りませんでした。

⑥1次試験の感想、難易度についての見解を求められました。

1次試験が10月16日 (貿易実務、海外マーケティング、貿易英語)
その合格発表が11月9日

2次試験が12月11日 (課題に対して1600字程度の論文を事前提出。
それを基に実務経験等を含め面接)
その合格発表が1月14日

そして、合格通知は合格通知で、その後、JETROへの「登録」必要との事です。

ジェトロの登録証が2月末までに送付、それと5年ごとに継続研鑚の上、登録更新というように、登録までの期間、維持が必要な資格です。 (注:現在は登録更新制度はありません。)

さて、「登録提出書類」の中にアンケートがありました。その原稿書きを兼ねて、下記をまとめました。

①受験動機
中小企業診断士として専門性を深めるため、また、これまでの海外営業経験を集大成するため。

②受験のための勉強期間半年程度。 (ただし、貿易マーケティングの科目は診断士受験の知識でほぼ対応可能)

③受験勉強で使用した参考書
・実践貿易実務 (ジェトロ)
・実践国際ビジネス教本 (ジェトロ)
・ICC荷為替信用状に関する統一規則および慣例 (国際商業会議所)
・貿易アドバイザー試験問題集 (世界経済情報サービス)
・めざせ!貿易実務検定 (日本能率協会マネジメントセンター)
・貿易実務検定B級試験問題集 (マウンハーフ教育出版)
・貿易実務検定 準A級受験の指針 貿易書類の作成 (マウンハーフ教育出版)
・貿易実務検定 準A級試験問題集 (マウンハーフ教育出版)
・貿易実務検定 A級試験問題集 (マウンハーフ教育出版)
・国際貿易ビジネス検定 本試験問題・解説集 (東京リーガルマインド)

④日常生活で受験のために留意したこと
・新聞やテレビでWTOやFTAに関するニュースは意識して見聞きするようにし、必要に応じて切り抜く等した。
・ JETROのホームページ等を定期的にチェックし最新の動向について確認した。

⑤日常業務で受験のため留意したこと
・ 乙仲等との電話や連絡の際に、意図的に学習した専門用語を織り交ぜるようにした。
・ B/LやL/C等、格好の教材が手元にあるので、裏面約款等を改めて読み直した。
・ 日常業務で使っているInvoice, Packing List, Shipping Instruction等の書式を見なおした。
・ コンテナやAIRでの輸出の場合、これまで使っていたFOB、C&FやCIFの表記を止
め、FCA、CPT、CIP等の用語を使うべくDistributorに問題提起、協議を行った。

⑥今後の受験者へのエール
海外進出、海外生産が盛んになっても、日本からモノを出す、あるいは海外からの輸入の形態が無くなるわけではありません。 貿易は正に日本の存続にかかわる責任ある仕事です。 

ジェトロ貿易アドバイザーの試験のハードルはとても高いですが、「ニッポンを支える」意気込みで挑戦されてはいかがでしょうか?

                                       以上