FTA, EPA

FTA(GATT第24条及びGATS(サービス貿易に関する一般協定)第5条にて定義される協定)

(1) 日本の締結状況:

経済産業省HPに詳しく解説 http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/index.html

(2) WTO閣僚会議は、各国の利害が対立しなかなか合意が成立しないことから、各国はWTOに代わって2国間あるいは複数国間のFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)の方へ重点を移しつつある。FTAの急増に伴いWTOとの矛盾があるが、WTOは一定の条件を付けて認めている。

(3) GATT第24条

地域貿易協定:域外への障壁を高めないことを条件に

・関税同盟 ・自由貿易地域 ・それらを形成するための中間協定 を認め、域内の関税、通商規則の撤廃を図ることを、最恵国待遇原則の例外として認めたもの。

GATT第24条が規定する自由貿易協定→モノ

EPA→モノ、サービス、投資、ヒト。

GATT第24条⑦

自由貿易協定を締結した場合、GATT加盟国に通報し、検討を受けること。→1996年、WTOは地域貿易協定委員会を設置し、それまで地域協定後とに設置されていた作業部会の審査(発動要件ではない)を統一した。

(4) 関税同盟とは:

地域協定の加盟国の各構成国が、関税その他の制限的通商規則を構成地域間では廃止、非加盟地域との貿易には実質的に同一の関税およびその他の通商規則を適用する ex EU。

(5) 非関税型の地域協定(自由貿易地域)とは:

関税その他の制限的通商規則を構成地域間では廃止、非加盟国に対しては各国の関税、通商規則を適用→シンガポールとのFTAやNAFTAなど。

・RCEP:東アジア地域包括経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership)

ASEAN10か国+6か国(日本,中国,韓国,オーストラリア,ニュージーランド,インド,以下「FTAパートナー諸国」)が交渉に参加する広域経済連携。

 

EPA(Economic Partnership Agreement)

(1) 従来のFTAような貿易に関する障壁を撤廃するだけでなく、貿易および投資の円滑化、投資の自由化、中小企業振興や人材育成などさまざまな分野における二国間協力などを含む。

(2) EPAの締結に付いては、GATT 24条が規定する条件との整合性が要求される。

GATTが規定する関税、通商規則の撤廃とは、協定発効後10年以内に、実質的(90%以上)に撤廃することと理解されている。

 

2015年2月現在、日本のEPA

シンガポール(2002年11月発効)

メキシコ(2005年4月発効)

マレーシア(2006年7月発効)

チリ(2007年9月発効)

タイ(2007年11月発効)

インドネシア(2008年7月発効)

ブルネイ(2008年7月発効)

ASEAN (2008年12月発効)

フィリピン(2008年12月発効)

スイス(2009年9月発効)

ベトナム(2009年10月発効)

インド(2011年8月発効)

ペルー(2012年3月発効)

メキシコ(2012年4月発効)

オーストラリア(2015年1月発効)

 

 

(20160328)

EPA,FTAの利用

 

1. FTAを締結すると、それぞれのFTAで定める原産地規則を満たした相手国の原産品に対する関税が、即時撤廃や、順次撤廃又は引き下げる合意が適用される。

 

2. 利用の流れ

(1) 輸出貨物のHSコードを確認する。

(2) 関税率を調べる。

(3) 原産地規則の適合を確認する。

適用される原産地規則はFTAごとに異なるため,輸出企業はFTAの相手国ごとに、また、品目ごとに、適用される条件を確認する必要がある。

原産地規則の構成要件

①原産地基準

②積送基準

③手続き的規定

 

(3)-1 原産地基準

① 完全生産品 (原産国で生まれた家畜、収穫された農作物、採取された農作物、狩猟により魚介類など)

② 産品は輸出国の原産材料のみから生産されているが、その原産材料の材料に、他の国の材料(非原産材料)が使われているもの

③ 実質的変更基準を満たす産品

EPA相手国以外で生産された材料(非原産品)を材料として生産し、それをEPA相手国に輸出する場合に、EPA相手国での関税が免除されるためには、非原産品材料から実質的に変更になっている必要がある。その、実質的変更の度合いについて下記の基準がある。

 ・関税分類変更基準:HSコードの分類番号が変更になる場合。

 ・付加価値基準:原産資格割合(付加された価値の割合)が例えば40%以上であること。

  他国生産の部品はCIFで、産品の価格はFOBで計算。

 ・加工工程基準:非原材料に混合・加熱等を加え実質的に変更があったこと。

 

(3)-2 積送基準

原則はEPA締約国から他の締約国に直送。

例外として、第3国を経由する場合、その第3国での作業は貨物の荷卸し、産品の保存のために必要な作業に限る。

 

(4) 原産地証明書の準備

・第三者証明制度:政府機関等が発給する原産地証明書

・認定輸出者制度:政府から認定を受けた輸出者がインボイス上での宣誓等により物品の原産性を申告する制度。輸入者は輸出者が作成した原産地申告書を輸入通関で使用する。

・自己申告制度

 

cf. 特恵関税を適用して物品を輸入するための原産地証明書は、「一般特恵制度原産地証明書様式A」=GSP (Generalized System of Preferences):Form A

 

(20170306)

 

WTO

World Trade Organization(世界貿易機関)
(1)
沿革
・世界的な貿易自由化を推進することを目的とした機関
・現在150カ国ほどが加盟
GATT:2次大戦後世界的にモノの自由貿易を推進するため、GATTGeneral Agreement on Tariffs and Trade:関税と貿易に関する一般協定)=国際協定(条約)締結。1947年、最初の関税率引き下げ交渉。加盟国が多角的貿易交渉(ラウンド)を行うことにより、関税引き下げや輸入制限の撤廃などを実施。(例:ウルグアイラウンド:原則として農産物の輸入制限撤廃関税化に移行)。 サービス貿易、知的財産権等も含め、WTOに承継。
日本:
199611月 ウィスキー、コニャック、ブレンデー等に対する酒税が焼酎に比べ高率であるとして、GATT違反とされ酒税法改正等で対応した。
・コメの自由化したくなかった。ウルグアイ合意によりミニマムアクセス(最低輸入量)を受け入れたが、それを押さえるために97/4より関税化。

1994
年にGATTを発展的に解消しWTO設立。
ガットは協定の名前、正式な国際機関ではなかった→WTOは正式に国際機関。少なくとも2年に1回開催される閣僚会議が最高の意思決定機関。
いわゆる「WTO協定」:「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」及びその付属書に含まれている協定の集合体。国内法に優先。


(2)
付属書
付属書1
・附属書1A:物品の貿易に関する多角的協定
A1994年の関税及び貿易に関する一般協定
(通称:1994年版ガット。従いWTOによりGATTが廃止になったわけではない)
B)農業協定 ex関税割当品目
C)衛生・植物検疫措置の適用に関する協定(通称:SPS協定)ex.偶蹄類の動物
WTO上級委員会は20031126日、 米国から輸入するリンゴに対する日本の検疫制度は十分な科学的根拠を欠き厳しすぎるとしてSPS違反とする米国の主張を認めた。
D)繊維及び繊維製品(衣類を含む)に関する協定(通称:繊維協定 ATC
・ 日米政府間の協定で実施されていた我国からの米国向け繊維製品のビザ制度は、WTOの繊維協定がGATTに統合したことから2005/1/1より廃止された。
E)貿易の技術的障害に関する協定(通称:TBT協定) ex 工業標準化法
F)貿易に関連する投資措置に関する協定(通称:TRIMs協定) Trade Related Investment Measures 投資に関する制限を明示的に禁止。ローカルコンテント比率引き上げ要求、輸出入を均衡させる事を求める要求、出資比率成約、外国送金規制。
G1994年の関税及び貿易に関する一般協定第6条の実施に関する協定(通称:アンチダンピング協定)
中国は、日米、韓国、台湾、ロシアを原産地とするポリ塩化ビニールの価格によって国内産業が被害を受けているとして、反ダンピング関税を2003929日から5年間徴収する事を決定した。
H1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定(通称:関税評価協定)
I)船積前検査協定 (PSI) ex国際的検査機関
J)原産地規則に関する協定
K)輸入許可手続協定 ex 輸入承認制度
L)補助金及び相殺措置協定相殺関税
M)セーフガード協定緊急輸入制限、緊急関税 (この項20160405)

「緊急輸入制限措置」輸入品の急増で国内産業が大きな損害を受けることを回避するためWTOで認められている措置

 ①海外から不当に安い製品が輸入されてきた場合に、日本企業が政府に対して対抗措置として反ダンピング(不当廉売)課税を申請→政府が不当輸出かを判断→これに不満な外国企業は自国政府に不服を申し立て、自国政府がWTOに紛争解決を要請できる。

 ②輸入量制限

 
・附属書1B:サービス貿易に関する一般協定(通称:GATS
サービス貿易における最大の障害である各国政府の規制を軽減することにより、3つの原則である最恵国待遇、市場アクセス、内国民待遇を実現してサービス貿易の国際的な拡大を目指す。


・附属書1C:知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(通称:TRIPs協定) ex並行輸入
附属書2:紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(通称:紛争解決了解) DSB (Dispute Settlement Body)
→WTO
による紛争等を解決するための小委員会は、これを設置する事を加盟国が一致して反対しなければ(つまり、1カ国でも賛成があれば)設置される:「ネガティブ・コンセンサス方式」
附属書3:貿易政策検討制度(TPRM)
附属書4:複数国間貿易協定


(2) WTOの基本原則

最恵国待遇の原則:特定の国を差別したり優遇しないで、すべての国に、他の国に与えている条件よりも不利にならない条件で協定を結ばなければならない。
内国民待遇の原則:輸入品を税制や国内規制の適用面で、国産品に比べて不利に扱わないという原則。

 

(3) WTOにおける紛争解決 「WTOに提訴」

 ① 2国間協議を要請

 ② DSB (Dispute Settlement Body)にパネル(案件を審理する小委員会)の設置 (ネガティブコンセンサス方式 : 全会一致で反対されなければ設置)

 ③ パネル報告に不服→上級委員会に上訴

 ④ WTO協定違反と認定された場合、被提訴国に是正勧告、WTO協定違反の措置を廃止・是正する義務を負う。

 ⑤ 勧告が実施されない場合、報復的な関税引き上げなど対抗措置をとることができる。

 (20160328)

 

TPP

TPP交渉においては、統一原産地規則が検討されてあり、輸出製品の原産地規則充足の管理を一本化することが期待できる。

 

輸出する品目のHSコードを調べる

・輸出先の国から、HSコードの事前教示を受けることができる。結果については法的拘束力を持たせせている。

関税率を調べる

原産地規則を満たしているか確認する。

・原産性の基準

(1) 完全生産品WO(農水産物など)

(2) 原産材料のみから生産される産品PE

加工食品など。一次材料を作るための原料はPSRを満たせは、域外産でもよい。

(3) 付加価値基準PSR (Product Specific Rule)を満たす産品

① 関税分類変更基準 CTC

HSコードの上2桁、4桁、6桁

救済規定として、デミニマスルールがある。

② 付加価値基準RVC

・控除方式(一般的)

・積み上げ方式 : 労務費、製造形式、販促費・輸送費、利益は計上できない。材料費の割合が大きいほど有利。

・重点価額方式

・純費用方式(自動車関連品目のみ)

・加工工程基準(化学品) 化学式が違っていればよい。

・累積:複数のTPP域内国における付加価値や工程の足し上げが可能。

原産地証明の準備

・自己証明で行う。特定のフォーマットはない。商工会議所の原産地証明ではない。

(20161106)

 

経済産業省

http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade/tpp.html