紛争処理

(1)仲裁 (arbitration)

・respondent:訴えられた方。
①仲裁条項:
・売買契約に、紛争が起きた場合は仲裁により解決する旨を予め盛込んでおく必要がある。 
・制度的仲裁:Institutional Arbitration 常設の仲裁機関に仲裁を依頼すること。常設の仲裁機関の規則、サービス、設備、ノウハウなどを利用できることから、国際商事仲裁で広く採用されている。

一般社団法人日本商事仲裁協会

②仲裁に関する国際条約
・ジュネーブ議定書:外国で行われた仲裁の裁定の効力と強制執行の規定無し。
・ジュネーブ条約:ジュネーブ議定書締約国における外国仲裁判断の承認と執行について規定するが、条約の適用範囲、執行に関する制約多く、実務上の要請に十分応えるものでは無い。
・ニューヨーク条約:ニューヨーク条約締結国間では、ジュネーブ議定書、ジュネーブ条約は失効、ニューヨーク条約が適用される。当該国外で行われた仲裁裁定を自国の裁判所が承認し、これに執行力を与える国際条約。日本は1961年に加盟。
③仲裁合意書の独立性
主たる売買契約が解除されても、その契約書中の仲裁合意は独立して存続する。
 

(2) 調停、斡旋 →強制力なし。 売買契約当事者双方の合意ない限り貿易クレームは解決しない。

・調停:調停人として第3者を選び、調停人が双方の主張をヒアリングして調停案を提示する。

・斡旋:斡旋人として第3者を選び、和解をファシリテーションする。


(3) 訴訟
紛争解決の手段として売買契約書で訴訟を選択する場合、管轄裁判所の取り決めは、勝訴した場合の法の執行を確実にするために、提訴裁判所は被告の住所を管轄する裁判所とするのが望ましい。(被告地主義)

日本の裁判所で勝ってもそれで他国での執行は困難だからである。